主任教授 川上 純
皆さんと一緒に、時代感覚を取り入れた、内科学第一講座を創って行きたい
私たち内科学第一講座のキャッチとして、A:Academic、B:Bedside、C:Comfortableがあります。A:Academic、何も難しく考えることはありません。医学は日進月歩、わからないことが多くて当たり前、それを一つずつ、アカデミックな視点から吸収して下さい。必ず、役に立ちます。B:Bedside、“書かれた医学は過去の医学である。目前に悩む患者の中に明日の医学の教科書の中身がある”の有名な言葉があります。技術革新が進んだことで、まだテキストブックには記載されていない、しかしながら患者さんの体内で起こっている事象を、正確に把握することが出来る時代です。それなのでベッドサイドでのSOAPはとても大切で、患者さんが持つ問題を治療の軸に据えたPOS(問題志向型システム)を身につけましょう。必ず、役に立ちます。C:Comfortable、講座には多くの人が在籍し、様々な考え方を持っています。皆さんそれぞれが力を発揮することが講座の発展に繋がりますが、それには“力を発揮出来る環境整備”が必要です。今は“uncertainty”の時代と言われますが、私たちは情報を皆さんと共有し、皆さんの疑問や不安を解消し、フラットで働きやすい環境を提供しています。必ず、実感してもらえます。
私たちが診療する“リウマチ性疾患”と“内分泌代謝性疾患”は、そのほとんどが患者さんのライフイベントと伴走する疾患です。ちょっとだけ各論に入ると、“リウマチ性疾患”の臨床は分子標的治療薬の発展を牽引し、患者さんの予後はパラダイムシフトしました。診療ガイドラインの改定もかなりのペースで行われています。“糖尿病”は5疾病・5事業でも重要性を増し、見逃されやすい“内分泌疾患”は想起することから始まり、特徴的な症候やわずかな異常値から鑑別診断が始まります。いずれもとてもやりがいを感じる仕事内容で、他診療科からのコンサルテーションも非常に多い分野です。
私のサブスペシャリティ領域は膠原病・リウマチ内科領域であり、リウマチ専門医を取得して25年以上となります。その間に新たな疾患概念とそれに基づく新たな診断がいくつも確立され、臨床医学の目覚ましい進歩を実感しています。私も微力ながら、特に自己炎症性疾患の分野で、協力させていただきました。医学の進歩はサイエンスロジックが基盤となりますが、それを実地に落とし込むのは臨床医であり、人間味&人間性-shared decision makingやnarrative based medicineなど-もきわめて重要なファクターです。私たちは“リウマチ性疾患”と“内分泌代謝性疾患”を大きな対象として、今までに述べた方向性を重視して、皆さんと一緒に、時代感覚を取り入れた、内科学第一講座を創って行きたいと思います。
今後ともよろしくお願い申し上げます。